ほうじ茶のカフェインは?ノンカフェインではありません|量の比較と夜・妊娠中の目安

ほうじ茶を、ノンカフェインのお茶だと思って飲んでいた時期があります。夕食のあとにも、来客の湯呑みにも、麦茶と同じような気分で注いでいました。香ばしくて渋みが軽いので、なんとなく「やさしいお茶」の側にいると思い込んでいたのです。

調べてみたら、違いました。ほうじ茶にはカフェインが入っています。それも、国が出している成分表ではせん茶と同じ数字が並んでいます。

このサイトでは杜仲茶や桑の葉茶といった「本当にカフェインを含まないお茶」をいくつか紹介してきました。ほうじ茶は、そこには入りません。その線引きを、数字と出典を添えて正直に書いておきます。効能の話はここでは扱わず、カフェインの量だけに絞ります。

目次

ほうじ茶にカフェインは入っています

文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、ほうじ茶の浸出液に含まれるカフェインは 100mLあたり20mg です。この値は農林水産省のカフェイン解説ページにも、国民生活センターの調査報告にも、同じ数字で引用されています。

日本茶の湯呑みは150mLくらいが目安ですから、単純に計算すると湯呑み1杯でおよそ30mg。マグカップに200mL注げば約40mgになります。ゼロではありませんし、「ごくわずか」と言い切れるほど小さくもありません。

思い違いをしていたのは、どうやら私だけではないようです。国民生活センターが2021年に出した「飲料のカフェイン含有量に関する調査」は、乳幼児を持つ母親を対象にした調査で「ほうじ茶、玄米茶といった飲料にカフェインが含まれているという認識が低い」との結果が報告されていることを、注記で紹介しています。原典は東京都健康安全研究センターの研究年報(2015年)です。

つまり、「ほうじ茶=カフェインなし」という受け止めは、わりと広く共有された勘違いだということになります。

緑茶・紅茶・コーヒーと比べてどのくらいか

成分表に載っている浸出液のカフェイン量を並べてみます。すべて100mLあたりです。

飲みもの カフェイン(100mLあたり)
玉露 160mg
コーヒー 60mg
紅茶 30mg
ほうじ茶 20mg
せん茶 20mg
ウーロン茶 20mg
番茶 10mg
玄米茶 10mg

コーヒーの3分の1、玉露の8分の1。紅茶よりは少なく、せん茶とは同じ。これがほうじ茶の位置です。「緑茶よりずっと少ない」と紹介されることがありますが、少なくともこの表の上では、せん茶と並んでいます。

ただし、この表は同じ条件で比べたものではありません

ここは正直に書いておきたいところです。成分表の浸出液の値は、食品ごとに違う淹れ方で測られています。備考欄を見ると、こうなっています。

  • ほうじ茶・番茶・玄米茶・ウーロン茶 茶15g/90℃の湯650mL/0.5分
  • せん茶 茶10g/90℃の湯430mL/1分
  • 玉露 茶10g/60℃の湯60mL/2.5分
  • 紅茶 茶5g/熱湯360mL/1.5〜4分
  • コーヒー 粉末10g/熱湯150mL

茶葉の量も、湯の量も、時間も違います。つまりこの表は「同じ淹れ方で並べた順位表」ではなく、「それぞれの標準的な淹れ方で測った実測値」です。家で濃く長く出せば数字は変わりますし、成分表の値自体も0.01g(=10mg)刻みで丸められているので、20mgと10mgの差もそれほど精密なものではありません。

ペットボトルのほうじ茶はどうか

市販のペットボトル飲料については、国民生活センターが2021年に実測しています。茶系飲料32銘柄のうち、カフェインを含まないとうたった2銘柄を除いた30銘柄すべてにカフェインが含まれていました。ほうじ茶の銘柄はいずれも、成分表の「ほうじ茶浸出液」の値を下回っていたそうです。

ただし同じ調査で、ウェブサイトに書かれた表示量よりも多く含まれていた銘柄もあり、差が最も大きかったのはほうじ茶とウーロン茶の各1銘柄で、100gあたり5mg(1.5倍)ほど多かったと報告されています。そもそも飲料へのカフェイン量の表示は義務ではなく、茶系飲料32銘柄のうち本体に表示があったのは10銘柄だけでした。

(この調査の数値は100gあたりの表記です。成分表の100mLあたりとは基準が違うので、厳密には同じ物差しではありません)

焙じるとカフェインは減るのか、減った気がするだけなのか

ほうじ茶の説明でよく見かけるのが「高温で焙煎するからカフェインが飛ぶ」という話です。カフェインには昇華する(固体から直接気体になる)性質があるから、と説明されることもあって、理屈としては分かる気がします。

では実際に焙じたらどれだけ減るのか。高知県農業技術センター茶業試験場が、まさにそれを測った試験を公開しています(研究課題「ほうじ茶の製造技術の開発」平成25〜26年度)。

結果はこうでした。浅炒りは、どの茶期でもカフェイン量の減少がほとんど見られなかった。深炒りで6〜13%減った。

原料 荒茶(焙じる前) 浅炒ほうじ茶 深炒ほうじ茶
一番茶 2.59mg 2.61mg(101) 2.43mg(94)
刈番茶 2.52mg 2.50mg(99) 2.17mg(87)

数値は茶液100mLあたりのカフェイン量、かっこ内は荒茶を100としたときの指数です(同試験の分析条件での値)。浅炒りに至っては、一番茶で101と、焙じる前とほぼ変わっていません。

似た方向の報告は、もっと古くからあります。1981年の日本食品工業学会誌に載った阿南豊正らの研究「緑茶の化学成分の加熱による変化」では、緑茶を130℃で30分、160℃で30分加熱したところ、アミノ酸類やビタミンC、遊離還元糖は著しく減った一方で、全窒素とカフェインはほとんど減らなかったと報告されています。

では、あの「軽さ」は何が減ったのか

同じ高知県の試験には、その答えらしきものも載っています。焙煎で大きく減っていたのはカフェインではなく、渋みのもとであるカテキン類でした。一番茶で見ると、カテキン類の総量は茶液100mLあたり、荒茶34.89mg → 浅炒21.86mg → 中炒14.59mg → 深炒6.98mg。深炒りでは5分の1になっています。うま味のテアニンも21.12mgから浅炒りで1.27mg、中炒りと深炒りでは0と記載されています。

渋みもうま味もごっそり抜けて、香ばしさだけが立ち上がる。ほうじ茶があっさりした口当たりになるのは、そういう仕組みのようです。軽くなったのは味であって、カフェインではない。私はここが一番腑に落ちました。渋くないから体にやさしい気がする、というのは、舌が受け取っている情報とカフェインの量が別々だということです。

念のため書き添えると、これは一つの試験場が特定の焙煎機と条件で出した結果です。焙煎の深さも機械も原料もお店ごとに違いますから、どこのほうじ茶でも同じ数字になるとは限りません。

成分表の中にも、説明のつかない差があります

もうひとつ。成分表では番茶とほうじ茶がまったく同じ浸出条件(茶15g/90℃650mL/0.5分)で測られているのに、番茶は10mg、ほうじ茶は20mgです。焙じたほうが多い。「焙じたから少ない」という説明だけでは、この差は説明できません。

高知の試験でも、焙じる前の荒茶の段階で、一番茶2.59mg、刈番茶2.52mg、二番茶2.19mg、茎茶1.99mgと、原料によって差がついていました。焙煎の深さよりも、どの茶葉を使ったかのほうが効いている可能性があります。番茶については阿波番茶で下痢になる?カフェインは?飲む前に知っておくことでも触れています。

なお、ここで比べている番茶とほうじ茶は、そもそもきれいに分かれる二つではありません。番茶を焙じたものがほうじ茶にあたる、という重なりがあります。その関係と地域差はほうじ茶と番茶の違い|「別物」ではありませんで詳しく書きました。

妊娠中・授乳中・子どもが飲むとき

まず前提として、日本国内では、カフェインの一日摂取許容量は定められていません(内閣府食品安全委員会のファクトシート「食品中のカフェイン」)。なので国内の公式な数字を探しても出てきません。目安として使われているのは、海外の機関がまとめたリスク評価です。

対象 悪影響のない一日あたりの最大摂取量 示した機関
健康な成人 400mg 欧州食品安全機関(EFSA)/カナダ保健省
妊婦 200mg EFSA
妊婦 300mg 世界保健機関(WHO)/カナダ保健省
授乳中の女性 200mg EFSA
4〜6歳 45mg カナダ保健省
7〜9歳 62.5mg カナダ保健省
10〜12歳 85mg カナダ保健省
13歳以上の青少年 体重1kgあたり2.5mg カナダ保健省

妊婦の欄が200mgと300mgの二段になっているのは、機関によって出している数字が違うからです。どちらが正解ということではありませんが、迷うなら厳しいほうの200mgを目安にしておけば、どの機関の見解の内側にも収まります。

ほうじ茶に置き換えてみます。湯呑み1杯(150mL)でおよそ30mgでしたから、

  • 妊娠中の目安200mgに対して、ほうじ茶だけなら6杯ほど
  • 授乳中の目安200mgも、同じく6杯ほど
  • 4〜6歳の目安45mgに対しては、湯呑み1杯半で届いてしまう

大人が湯呑みに1杯飲んだからといって、すぐに目安を超える話ではありません。ただ、コーヒーも紅茶もチョコレートも足し算になりますし、小さな子どもの場合は数字がかなり近いところにあります。麦茶の代わりに一日中ほうじ茶を出す、という飲ませ方だと、目安に届く可能性は十分にあります。

妊娠中については、WHOが2016年に、妊娠中は母親の血液からのカフェインの消失が著しく遅くなること、過剰摂取が胎児の成長遅延や低体重、早産、死産と関連する可能性が示唆されていることを挙げ、一日300mgを超える妊婦に対して摂取量を制限するよう注意喚起しています。「可能性が示唆されている」という言い方をしているのは、まだ確定した結論ではないからです。

カフェインへの感受性には個人差が大きいとされていて、上の数字はあくまで一般的な目安です。妊娠中・授乳中の方や、持病があってお薬を飲んでいる方は、自分の場合はどうかを主治医に確かめてください。ここに書いた数字は、その相談のときの材料として使っていただければと思います。

夜に飲みたいときの選び方

夜のほうじ茶は、香ばしくてほっとします。私も好きです。ただ、眠りに響くかどうかを考えるなら、目安になる数字があります。

食品安全委員会のファクトシートによれば、オーストリアの保健・食品安全局は、就寝直前に1回100mg(体重70kgの成人でおよそ1.4mg/kg)のカフェインをとると、一部の成人で睡眠障害を引き起こす可能性があるとしています。同じ程度の量は、子どもやティーンエージャーでも起こり得ると考えられているそうです。フィンランドの食品安全局は、成人でも体重60kgで約85mgという少ない量で睡眠障害が生じる可能性があるとしています。

湯呑み1杯のほうじ茶が約30mgですから、3杯でおよそ90mg、4杯で120mgという計算になります。100mgのあたりに届くのは3杯半あたりから。1杯なら、多くの人にとってはそれほど大きな量ではありません。ただしドイツの機関は「一部のヒトはコーヒー1杯でも睡眠障害を生じることがある」とも書いていて、結局のところ個人差が大きい、というのが各国共通の言い方です。眠れなかった記憶がある方は、自分は感受性が高いほうだと考えておいたほうが安全だと思います。

なお、「飲んでから何時間くらい体に残るのか」「水出しや低い湯温にすればカフェインは減るのか」は、私も知りたかったところです。ただ今回あたった公的な資料の中では確かな数字を見つけられなかったので、この記事には書きませんでした。よく見かける説明ではあるのですが、裏が取れないうちは書かないでおきます。分かったら足します。

夜に選ぶなら、茎の入ったものを

前の章で紹介した高知県の試験で、焙じる前の荒茶のカフェイン量は、一番茶2.59mgに対して茎茶は1.99mg(一番茶を100とすると77)でした。葉より茎のほうが2割ほど少なかったことになります。棒ほうじ茶・茎ほうじ茶と呼ばれる、茎を焙じたお茶を選ぶときの目安にはなりそうです。

ただしこれは焙じる前の荒茶を原料別に比べた数字で、市販の棒ほうじ茶が同じ比率になるとは限りません。差も2割ほどで、ゼロになるわけでもありません。「どちらかといえば控えめ」くらいの受け止め方が正確だと思います。

「カフェインが少ない」と「カフェインを含まない」は別の話

ペットボトルを選ぶときに気をつけたいのがここです。国民生活センターの調査では、「カフェインが少ない」とうたったほうじ茶が1銘柄あったものの、同じ分類の他の銘柄より少ないわけではありませんでした。同じ報告によれば、その銘柄は表示どおり成分表の「ほうじ茶浸出液」の値は下回っていたそうです。つまり「成分表より少ない」は本当でも、「他社のほうじ茶より少ない」という意味ではなかった、ということになります。

一方で「カフェインを含まない」とうたった2銘柄は、100gあたり0.1mg未満でした(この値も、成分表の100mLあたりではなく100gあたりの表記です)。この2つの表示は、まったく別物として読む必要があります。ゼロに近づけたいなら、「少ない」ではなく「含まない」と書いてあるものを探してください。

本当にカフェインを避けたいなら

ここまでの話は、突き詰めると原料の問題です。

緑茶も、せん茶も、番茶も、ほうじ茶も、玄米茶も、ウーロン茶も、紅茶も、原料はすべて同じチャノキという一種類の木の葉です。蒸すか、焙じるか、発酵させるか、という作り方の違いでこれだけ姿が変わりますが、元が同じである限りカフェインはついてきます。焙じても、発酵させても、そこは変わりません。

逆に言えば、チャノキを使っていないお茶なら、原料としてカフェインを含みません。日本で「健康茶」と呼ばれているものの多くが、これにあたります。このサイトで一本ずつ書いてきたものを挙げておきます。

夏に麦茶を飲むのも同じ理屈です。大麦が原料で、チャノキの葉は入っていません。

どれがどういうお茶なのかをまとめて眺めたい方は、日本の健康茶15種類まとめ|種類・効能・カフェインの有無を一覧で解説に一覧があります。カフェインの有無も並べてあるので、夜用の一杯を探すときの見取り図になると思います。

なお、チャノキを使ったお茶のカフェインについては、和紅茶はまずい?カフェインは多い?正直レビュー+対処法でも紅茶の側から書いています。

よくある質問

ほうじ茶はノンカフェインですか

いいえ。日本食品標準成分表2020年版(八訂)では、ほうじ茶の浸出液100mLあたり20mgのカフェインが示されています。ノンカフェインでもカフェインゼロでもありません。

ほうじ茶と緑茶(せん茶)では、どちらがカフェインが少ないですか

成分表の浸出液の値では、ほうじ茶もせん茶も100mLあたり20mgで同じです。ただし測定時の淹れ方が違う(せん茶は茶10g/90℃430mL/1分、ほうじ茶は茶15g/90℃650mL/0.5分)ので、同じ条件で比べた順位ではありません。家での淹れ方によっても変わります。

焙じるとカフェインは飛びますか

高知県農業技術センター茶業試験場の試験では、浅炒りではほとんど減らず、深炒りで6〜13%の減少でした。ゼロにはなりません。焙煎で大きく減っていたのは、カフェインよりも渋みのもとであるカテキン類のほうでした。

妊娠中にほうじ茶を飲んでも大丈夫ですか

日本には基準がなく、海外のリスク評価では妊婦の目安を一日200mg(EFSA)または300mg(WHO・カナダ保健省)としています。ほうじ茶は湯呑み1杯でおよそ30mgの計算です。感受性には個人差が大きいとされているので、この数字を持って主治医に相談するのが確実だと思います。

子どもに麦茶がわりにほうじ茶を飲ませてもいいですか

カナダ保健省の目安は4〜6歳で一日45mg以下です。ほうじ茶の湯呑み1杯が約30mgですから、1杯半で届く計算になります。乳幼児を持つ母親でほうじ茶にカフェインが含まれるという認識が低い、との調査報告もあります。気になる場合は、麦茶やチャノキを使わないお茶に替えるのが分かりやすい選び方です。

カフェインの量だけでなく、ほうじ茶に何を期待できて何を期待しすぎないほうがいいのかは、ほうじ茶の効能を正直にのほうにまとめています。

出典

この記事は、お茶を飲むときの目安として数字を整理したものです。医学的な判断や治療にかかわることは、医師・薬剤師にご相談ください。

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