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「京番茶(きょうばんちゃ)」は、写真や商品説明を見ただけで二度見しそうな見た目のお茶です。緑茶のような細い針でもなく、ほうじ茶のような茶色く撚れた葉でもなく、枯れ葉のような茶色の大きな葉と小枝がそのまま入っている(一保堂茶舗は「開いた大小さまざまな茶色の葉と小枝」と説明しています)。そして香りは、燻したような、焚き火のような匂い。「これ、お茶なの?」と思う人がいても不思議ではありません。
でも京都では、これが「番茶」。日常の食卓で親しまれてきたお茶です。この記事では、京番茶とは何なのか、あの香りの正体、好みが割れる味のこと、カフェインの目安、淹れ方、そしてどこで出会えるかまで、出典を添えてまとめます。
京番茶とは|京都では「番茶」といえばこれ
京番茶は、京都を中心に作られてきた、地域に根付いた番茶です。業界団体である京都府茶業会議所の解説によると、古くは手摘みが終わった後の碾茶(てんちゃ)や玉露の古い葉を原料にしていて、現在は煎茶栽培の春や秋の整枝作業で出る葉を使っています。
つまり、かつては抹茶や玉露という京都の高級茶の畑から、いまは煎茶の畑から生まれるお茶。「畑の続きのお茶」と呼びたくなります。若い芽を使う煎茶とは反対に、大きく育った葉で作られます。高級茶の産地で生まれた日常茶、と考えると面白いところです。
「番茶」という言葉が指すものは地域で変わります(この話はほうじ茶と番茶の違いで整理しています)。京都府茶業会議所が「地域に根付いた番茶」として挙げているのが、この京番茶です。
燻したような香りの正体|揉まずに干して、強火で炒る製法
京番茶の一番の個性は、あのスモーキーな香り。正体は製法にあります。京都府茶業会議所の解説をもとに整理すると、工程はこうです。
- 整枝作業で出た大きな葉を、蒸す
- 揉まずに、そのまま乾かす(昔ながらは天日干し。今は天日で干す所は少なくなっているそうです)
- 葉の形のまま、強火で焙煎する
普通の緑茶は蒸した後に「揉む」工程があり、ここで葉が細くよじれます(緑茶の製法は京都府茶業会議所の製茶方法に整理があります)。京番茶はこれをしません。葉っぱの形のまま乾かして、強い火で一気に炒り上げる。枯れ葉のような見た目と燻製を思わせる香ばしさは、この「揉まない・強火で炒る」製法に由来するものだと、茶舗の解説では説明されています。
まずい?正直に書く|好みが割れる味
先に書いておきます。京番茶の香りは、茶舗の解説でも「たばこの香り」「焚き火くさい」とたとえられ、クセが強く好みが分かれるお茶として紹介されています。茶舗自身が「好みが分かれる」と断って売っているお茶だと、先に知っておいたほうがいいと思います。
それでも京都で長く日常茶であり続け、1717年創業の一保堂茶舗が「いり番茶」として定番に据え続けているのもまた事実。一保堂は商品説明で「スモーキーな香りと荒々しい見た目はワイルドで個性的」と表現し、「独特の香りのお茶ですので、初めての方はまずはお一つからお試しくださいませ」と案内しています。売り手自身が「まずはお一つから」と念を押す商品説明です。
味そのものはどうか。今回参照した茶舗の解説はどちらも「茶色の水色、燻製のような風味」(CHANOYU)というように、味より香りの言葉で語っています。水色(すいしょく)とはお茶の液の色のこと。味より香りで記憶されるお茶、と言っていいと思います。
好みがはっきり分かれるお茶だと思って出会うのが、ちょうどいい距離感です。
カフェインは少なめ|ゼロではありません
京番茶は、大きく育った葉で作る番茶の仲間なので、カフェインは少なめの部類に入ります。文部科学省の日本食品標準成分表(食品成分データベース)では、番茶の浸出液のカフェインは100gあたり約10mg(浸出液なのでおよそ100ml分)で、煎茶(約20mg)の半分程度です。
ただし補足があります。この数値は「番茶一般」を成分表の条件で浸出した目安で、京番茶そのものを測った公的な数値は見当たりませんでした。京番茶は数分煮出して飲むことが多いので、抽出条件によっては数値が上下します。「煎茶より少なめ」という方向は妥当ですが、「半分」がそのまま京番茶に当たるとは言い切れません。
大事なのは、少なめであってゼロではないこと。夜にたっぷり飲む場合や、お子さん・妊娠中の方は「ノンカフェインではない」ことだけ覚えておいてください。カフェインとの付き合い方はほうじ茶のカフェインの記事で詳しく整理しています。
おいしい淹れ方|たっぷり作るのが向いています
京番茶は葉が大きく、揉んでいません。一保堂は急須の目安も出していますが、2Lでたっぷり作る目安を併記しており、まとめて作る飲み方が案内されています。茶舗が案内している目安を、出典ごとにまとめます。
- 急須で(一保堂の案内):茶葉10gを熱湯300mlで約5分
- たっぷり作る(一保堂の案内):茶葉30gを熱湯2Lで15分おく
- 煮出し(CHANOYUの案内):茶葉20〜30gを1.8〜2Lのお湯で3〜6分煮出す
- 水出し(同):茶葉15gを1Lの水で、常温なら2時間、冷蔵庫なら8時間
茶舗によって「煮出す」「熱湯で待つ」と流儀が少し違いますが、どちらも茶葉を多めに、時間を長めに取る点は共通です。水出しや冷茶の飲み方を案内している茶舗もあるので、夏はまとめて作って冷やす使い方もできます。
どこで出会えるか|京都の茶舗から通販まで
京番茶は京都で日常茶として親しまれてきたお茶なので、地元の茶舗で見つけやすい部類です。京都以外に住んでいる場合の出会い方を挙げます。
- 一保堂茶舗「いり番茶」:1717年創業の京都の老舗が定番として販売。150g袋があり、公式通販で買えます
- 山城製茶(宇治田原)の手炒り京番茶:産地・宇治田原の製茶会社が販売する、昔ながらの手炒り製法をうたう京番茶
- 楽天などの通販モール:「京番茶」で検索して探せます
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よくある質問
京番茶とほうじ茶は何が違うのですか?
どちらも炒るお茶ですが、京番茶は揉まずに乾かした大きな葉をそのまま強火で炒る点が独特です。香りは、茶舗の解説では燻製や焚き火にたとえられ、ほうじ茶の香ばしさとは別の系統です。ほうじ茶との関係は「ほうじ茶と番茶の違い」の記事で整理しています。
子どもや妊娠中でも飲めますか?
カフェインは番茶の浸出液の目安で100gあたり約10mg(およそ100ml分)と煎茶の半分程度ですが、ゼロではありません。少なめのお茶として量と時間帯で調整し、心配な場合は医師に相談してください。
なぜ燻したような香りがするのですか?
葉を揉まずに乾かし、葉の形のまま強火で焙煎する製法(京都府茶業会議所の解説)に由来する香りだと、茶舗の解説で説明されています。
京番茶はどこで買えますか?
京都で日常茶として親しまれてきたお茶なので、地元の茶舗で見つけやすい部類です。それ以外の地域では、一保堂茶舗「いり番茶」などの公式通販や、楽天などの通販モールで購入できます。
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日本には、地域ごとに個性の強い番茶が残っています。京番茶が気になった方には、このあたりも面白いはずです。
